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(October 2009, my place, Tokyo, Japan)
サンソン・フランソワの弾くラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
このピアノの音色の中にいると、いろいろな想いがやってくる。今のこと、通り過ぎたはずの日のこと、そして、もしあるとすれば、自分がこの世界に生まれてくる前に決めてきた選択の意味について。
「亡き王女」は誰だったのか?ラヴェルはついにその名を語ることはなかった。一説には、ヴェラスケスが描いたスペイン王女の絵画から着想を得たと言われている。ただ、自分には、ラヴェルと同じ時間の中で生きた人のような気がする。これほど美しい詩情を思いびとの他のために書けるだろうか。言葉にできない熱情。
それをパヴァーヌにするしかなかったのではないか。