2009/11/07

川めぐり


(December 2005, Sumida river, Tokyo, Japan)


(February 2007, Brugge, Belgium)


(July 2006, Seine, Paris, France)

都市を流れる川。
東京の隅田川、パリのセーヌ川、ブルージュの運河。
川をめぐり、文学の世界を楽しむ。

2009/11/06

Tokyo Tower


(December 2005, Tokyo Tower, Tokyo, Japan)

 東京タワーに郷愁をおぼえる人は少なくない。東京に近代を象徴するタワーをつくる願望が生まれたのは明治の頃だろうか。明治の都市計画家は好んでパリを引き合いに出し、都市論を語った。当時、パリは近代のシンボルであり、放射状に整えられたオスマン流の都市像が首都のモデルとされた。当時の都市計画家にとって、都市は「生活の場」であるよりも「眺められる空間」であり、風景としての価値により多くの関心が払われた。
 しかし、現代の東京はパリのオスマン式都市とも、他のヨーロッパのどの都市とも違う。かつて都市計画家たちが描いたユートピアが実現することはなかった。東京タワーが唯一、夢の痕跡のように立ちつづけ、街を見つめ続けている。

2009/11/05

十六夜


(November 2009, Tokyo, Japan)

 十六夜ということばの響きが好きだ。この時間、十六夜の月はちょうど天頂あたりにいる。今日の十六夜はシルクのようなベールをまとって、奥ゆかしく、楽しげに宙に遊んでいる。

2009/11/04

シナジー


(December 2004, Iguazu National Park, Brazil)

 全体は部分の足し算ではない。部分部分が協力し合うことで思いがけないできごとが生まれる。今から九十年前、バックミンスター・フラーは協力し合うことで出現する振舞をシナジーと名づけた。水は酸素と水素からできているが、酸素と水素を個別に理解しても水の不思議な振舞は説明できない。恋する二人は、単に二人の人間の足し算ではない。一緒にいる時間は世界の色さえ変えてしまう。

2009/11/03

宇宙のカプセル


(December 2008, sunset, Tokyo, Japan)

 宇宙飛行士の訓練は多くのことを教えてくれる。宇宙での課題は生存であり、このことは全ての人間と地球の生命体の
課題そのものだ。宇宙飛行の訓練において最初は肉体の順応がもっとも重要なテーマになるが、その段階を過ぎると閉鎖された空間で生存を確保する方法に取り組むことになる。その多くは食物とエネルギーの循環に関わるものだ。


(October 2003, Living Machine, OAI, Vermont, USA ⒸOAI)

 閉じられたカプセルの中で自給自足のシステムをつくりだす実験は、自然界がどのように働いているのか教えてくれる。生物は互いに食べ、食べられる関係にあり、それぞれの排泄物も食糧になる。一部の微生物はヘドロの栄養分を分解し排泄物として電気を生み出す。カプセルの中では個々の生物の健康は全体の死活問題に発展する。たとえ一つの種でも絶えてしまうと食物連鎖が崩れ、全体の生命が危機に直面する。実験の成功はカプセルの中の生命すべてを維持できるかどうかにかかっている。
 地球も宇宙のカプセルだ。生態系全体を維持できるかどうかは、
地球にいる個々の生命を健康に保てるかどうかにかかっている。

2009/11/02

都市のイメージ


(October 2006, sunrise, Tokyo, Japan )

 都市は書物に似ている。ページは街路。標題は町の名前。物語の中の私たちは旅行者のように振る舞う。そう思うと、街の時間が豊かになり、空間に詩情が溢れるようになる。自然や生態系に対して破壊者のイメージがつきまとう現代の都市だが、人間のつくったものには美しい場所や瞬間がたくさんある。都市も、そこに生きる人間も自然のふるまいのひとつだし、愛しい存在なのだから。

2009/11/01

ブナに刻まれた名前


(April 2006, Mt. Myogi, Gunma, Japan)

 森の中を歩く。最初は体が重くトレーニングのように感じる。しかし、時間とともに森の表情が見えてくる。足下の木漏れ陽の中で雲の影が動き、影を追いかけて上を見上げると、そこには、陽射しに木々の枝葉が踊っている。その枝たちはブナの灰色の巨木から空に伸びている。ブナの硬い幹には、いつ刻まれたのか恋人たちの名前が残されていた。にわかに差し込んだ陽が灰色の幹を琥珀色に染め、森は暖かな光に包まれた。

Yes.


(November 2009, Tokyo, Japan)

Yes.
 38万キロ向こうの月に言ってみた。
そういえば、今日のお前は「待宵の月」だなあ。
ちょっとたのしい顔して、明日のこと想ってるのかな。
明日は満月になるからね。
それを楽しみにしてるのかな。