2010/01/16

目が覚めたとき


(January 2010, Tokyo, Japan)

夜が明ける頃、冷たい空気の中を歩いていた。
澄みきった大気の向こうに雪化粧した山並みが美しかった。
目が覚めたとき、西に沈む陽に空が染まり始めていた。
印象派の絵のように鮮やかで、にじむように色が重なり合っていた。

2010/01/11


(November 2009, Ginza, Tokyo, Japan)

 NHKハイビジョンで「モーニング・グローリー」という雲の特集番組を見た。明け方に現れる巨大な雲。長さ数百キロの帯状の雲が回転しながら大空を通り抜け、陽の光の中で消えていく神秘的な現象が紹介されていた。
 この映像を見て、昨年の11月20日に東京の空を覆った不思議な雲を思い出した。幾重にも連なる帯状の雲が空一面を覆った。それらの雲は西方の重く巨大な雲の塊から次々と生まれ東に動いていた。そして銀座の上空を過ぎたあたりで綿菓子のようにかき消えていった。


(September 1996, Divisadero, Estado de Chihuahua, Mexico

 これまでに見た雲でもっとも劇的だったのは、メキシコのDivisaderoで目撃したものだ。1996年9月の日没間際だった。東の空にわき上がる巨大な積乱雲を突然、強烈な陽の光が貫いた。空には光を遮る何ものもなかったはずだったが、説明不可能な光が雲の一点を貫き、雲はオレンジ色に燃え上がった。まるで雲の中で爆発が起きたかのような強烈な光だった。

 「待っていても出会えないこともある。しかし、待ちつづけなければ決して出会うことはできない。」これは番組の中で印象に残った言葉だ。この言葉は自然現象について語るなら、まさにそのとおりだし、人生の出会いについても真実なのだと思う。

2010/01/10

夕映え


(January 2010, sunset, Tokyo, Japan)

17時15分。
鮮やかな夕映え。燃えるようなオレンジと天頂の青が融け合う。

夢 1/10/'10



(July 2006, au Lapin Agile, Paris, France)

 何人かで映画に来ている。「きみ」と一緒にいる。仲間の中にF氏がいる。他の人の顔は見えない。上映時間が長くインターミッションになる。映画館の外に出る。簡単な造りの建物(シネコンが入っているモールのような感じ)。フロントに広いパーキングがある。外はすっかり日暮れている。街灯りは少ない。
 ホラー映画のようだった。なんの変哲もない、たいくつなストーリーだった。パーキングを歩きながら「きみ」が話しかけてきた。「休憩が終わっても映画に戻りたくない。恐ろしくて。」F氏は続きを楽しみにしているようだった。他の仲間も映画に戻るつもりのようだ。「きみ」の言葉は思いがけなかったが、私も映画に戻らないことにした。

 長い休憩時間だった。映画に戻らないつもりで歩いていると、皆もついてくる。信号のある交差点から少し入ったところに、ハイチスタイルのカフェを見つけた。映画が終わるまで時間をつぶすのにいい。そう思っていると、皆が大通りに向かって戻って行くのが見える。皆は通りを渡り始め道路の真ん中で止まった。車線に沿って一列に並ぶと、「きみ」は「思いきってやってみよう」と声をかけ、車線の上を車と逆走し始めた。皆も恐るおそる小走りになる。私は、側にいる友人の警察官に急いでホイッスルを鳴らすように頼む。彼はなぜか躊躇している。ためらいながらホイッスルを口にするがうまく音が出ない。二度三度と鳴らしてようやく音が届く。笛の音に皆が立ち止まり向きを変えて整列する。