2010/01/11


(November 2009, Ginza, Tokyo, Japan)

 NHKハイビジョンで「モーニング・グローリー」という雲の特集番組を見た。明け方に現れる巨大な雲。長さ数百キロの帯状の雲が回転しながら大空を通り抜け、陽の光の中で消えていく神秘的な現象が紹介されていた。
 この映像を見て、昨年の11月20日に東京の空を覆った不思議な雲を思い出した。幾重にも連なる帯状の雲が空一面を覆った。それらの雲は西方の重く巨大な雲の塊から次々と生まれ東に動いていた。そして銀座の上空を過ぎたあたりで綿菓子のようにかき消えていった。


(September 1996, Divisadero, Estado de Chihuahua, Mexico

 これまでに見た雲でもっとも劇的だったのは、メキシコのDivisaderoで目撃したものだ。1996年9月の日没間際だった。東の空にわき上がる巨大な積乱雲を突然、強烈な陽の光が貫いた。空には光を遮る何ものもなかったはずだったが、説明不可能な光が雲の一点を貫き、雲はオレンジ色に燃え上がった。まるで雲の中で爆発が起きたかのような強烈な光だった。

 「待っていても出会えないこともある。しかし、待ちつづけなければ決して出会うことはできない。」これは番組の中で印象に残った言葉だ。この言葉は自然現象について語るなら、まさにそのとおりだし、人生の出会いについても真実なのだと思う。