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(November 2009, Crescent Moon, Tokyo, Japan)
青い空の中に三日月が動いていく。月には二十七の顔があるが、その中でも三日月には数多くの名前が付けられている。初月、若月、眉月など。三日月は新月から数えて三日目から四日目の間、夕方のまだ明るい時間に西の空に姿を見せ、太陽とお揃いになる。
(November 2009, my hometown, Gunma, Japan)
日没後、空が紺色のグラデーションに染まる。微かな光がホリゾントになり山のシルエットが浮かび上がる。一番星をかすめるように、飛行機がとおり過ぎ、山を越えて行った。その後には、わずかな明かりを反射した白い飛行機雲が残される。夜空に弧を描く飛行機雲にカメラを向けシャッターを切った。
次の瞬間、飛行機雲は大きく動き始めていた。まるで、大時計の秒針のように回転していく。そのドラマティックな光景に地球を巡る大きな風を感じた。
(November 2009, Tanigawadake, Gunma, Japan)
山頂の冷たい空気が肌を刺し、間もなく冬が到来することを感じさせる。葉の色は干草色に変わり、土に還る準備を始めている。小雪がちらつく頃には葉が落ち、全てが深い雪に閉ざされる。凍てつく土の底で微生物たちが草を分解し、草が蓄えた太陽のエネルギーを大地に届けていく。
命が終わる季節は、新しい命の始まりを告げる季節でもある。冬の間、大地の奥深くでは新しい命の息吹が始まっている。ふたたび春の陽射しが巡ってくる頃、小さな命たちは一斉に顔を出すだろう。
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(November 2009, Tanigawadake, Gunma, Japan)
ブナの巨木を抱え、その幹にそっと耳をあてる。かすかに水音が聞こえるような気がする。ブナは水を豊かに蓄える樹だ。たえまなく大地から水をくみ上げる。その幹の表皮は苔をまとい、空気中からも水分を集める。
秋の終わる頃、その葉を落とし、ブナは明るい灰色に輝く。この季節、ブナの森は一面スノーホワイトに染まる。幻想的で、まるで水墨画のような美しさだ。