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ブナに刻まれた名前
(April 2006, Mt. Myogi, Gunma, Japan)
森の中を歩く。最初は体が重くトレーニングのように感じる。しかし、時間とともに森の表情が見えてくる。足下の木漏れ陽の中で雲の影が動き、影を追いかけて上を見上げると、そこには、陽射しに木々の枝葉が踊っている。その枝たちはブナの灰色の巨木から空に伸びている。ブナの硬い幹には、いつ刻まれたのか恋人たちの名前が残されていた。にわかに差し込んだ陽が灰色の幹を琥珀色に染め、森は暖かな光に包まれた。