2010/01/03
忘れていたこと
(November 2009, my home town, Gunma, Japan)
そこは日本ではないようだった。暖かな陽が森に射し込んでいる。森の木々の向こうに青い空が広い。遥か水平線の先から穏やかに吹いてくる海風が心地よい。森の小径を歩くと小さな菜園があり、平屋の住宅が見える。
私は新しい住宅の提案を届けるために、そこに向かっている。A1サイズほどの大きさのモデルを携えて住宅に入る。他に二名の建築家が提案を届けに来ていた。二人の顔は見えない。三つのモデルが並べられた。私のモデルは白い紙でつくられていて、完成した住宅の姿を表現している。他の二つのモデルはいずれも完成していない。二人ともlegoのようなブロックで一部だけ組み立てている。
見ていると、二人のうち一人が話しかけてきた。「最初はつくれるところだけ造ればいい。後から付け足せばいいし、ほら。」彼は話しながらブロックをつけたり、外したりしている。「そうだよな、子どもの頃はいつもそうしていたな。」私は大切なことを思い出したような気がしていた。