2010/01/04

鬼門


(December 2009, a certain Japanese residence, Tokyo, Japan)

 正月になると方位の話題が多くなる。初詣に出かけると、境内に方位について書かれたものが目につく。その多くは九星気学に基づく方位についてだ。今年は八白の星が中央にきているため、二黒土星、四緑木星、五黄土星の星回りが良くない場所に入っている。

 気学の方位になると少々難しくなってしまうが、巷でよく知られている方位に鬼門がある。鬼門は古代中国の都、洛陽にその起源があると言われている。
洛陽の冬は東北から冷たい風が吹き込む。その寒風を防ぐために都の東北方位を塞いだのが鬼門だった。ところで、日本ではいつごろから鬼門のことを気にするようになったのだろう。古来、日本人にとって、己の都合で土地を動かすことは自然に対して恐れ多いことであったようだ。そのため、土地を動かす前に神にお伺いをたて、お断りすることが欠かせなかった。今でも田舎の方に行くと、屋敷の中に祠を見つけることがある。神、自然への畏敬の念を表わすために屋敷内に国津神を祀った跡だ。この国津神を祀った場所が鬼門の起源といわれる。

 鬼門は中国と同じく東北方位にある。日本人は、日常の不浄が神から見えないよう、鬼門の方位を塞ぎたかったし、
蒸し暑い夏はできるだけ開け放せるよう、家は開放的なつくりにしたかった。そこで、彼らは神を東北の方位に祀ることにし、この方位を鬼門とした。要領のよい祖先だと思う。