2010/01/02

ゼラニウムの発明



(January 2010, my place, Tokyo, Japan)

 ゼラニウムの花びらに水滴がのっている。美しい銀色の光をとじこめ、まるで宝石のようだ。水滴は完全な球形をしていて、すぐにでも転げ落ちそうに見える。花びらの上にはいくつもの水滴がのっているのに、花びらは濡れていない。
 写真を撮ると、そこにあるものが見えるようになる。よく観るとゼラニウムの花びらの表面に微細な凹凸がある。この凹凸が水滴を寄せ付けず、水玉を球形に保っている。水玉は花びらの上を転がりながら塵や埃を吸い付ける。転がり回った後に埃と一緒に落ちていく。雨が降るたびに、花びらの上を水滴が転がりクリーニングしていく。
 自らは動くことが出来ないゼラニウムの花は、考えに考え、気の遠くなるような時間をかけて偉大な発明を完成させた。ジッとしていれば自然が体を洗ってくれる仕組みを考えつき、体を進化させた。花だから濡れた顔になるのはイヤだったし、いつもキレイにしていたかった。そして、その願いは実現した。
 自然には発明が満ちている。その気になれば学べることは山のようにある。自然はいつでもワクワク、キラキラしている。