2010/01/02

あの惑星で起きたこと


(July 1987, Death Valley, Nevada, USA)

 あの日、夢の中で起きたことは何だったのだろう。あの惑星では誰も言葉を交わしていなかった。そもそもそこは惑星だったのか?
 そこでは誰も話をしていない。音の存在しない世界。唯一、「きみ」を呼び止めたときに自分の声を聞いたような気がする。しかし、その声に振り向いたのは「きみ」だけで、他の誰ひとり気にかける人はなかった。おそらく、他の誰にも「声」は存在していなかった。
 音の無い世界にあって、「声」は別次元の世界の産物なのかも知れない。その世界では「声」は聞くことも見ることも出来ない異物なのだ。「声」の代わりに、そこでは、直接、意識に伝わる何かが
飛び交っている。
 夢はどのように形づくられるのだろう?あの日、夢の中でみたことは過去の記憶からではなく、どこか遠い未来で起きたことのような気がするし、パラレルワールドを垣間見てしまったような気もする。