2009/10/26
ジュルジュ・サンドの手紙
(October 2009, Tokyo, Japan)
ショパン自筆のバラード
「ご存知の通り恋をしているときは、空模様が変わりやすいものです。一週間の間にいやというほど「イエス」と「ノー」を、「もし」と「しかし」をいうのです。朝「とてもやりきれない」というかと思うと、夕べには「実にすばらしい」というのです。」ジュルジュ・サンドが1838年の五月にカルロッタ・マリニアニに宛てた手紙の中で述べた心模様。
ショパンの生活はジュルジュ・サンドとの出会いで一変する。ショパンは二十六歳、サンドは三十二歳。作家として名を知られていたサンドは、その知性で芸術家を次々と虜にしていた。ショパンは当初サンドに反撥を覚えるが、いつしか彼女に惹かれていく。そして、1838年の末から翌年にかけてサンドと共にマジョルカ島で過ごす。この間、ショパンはその生涯でもっとも重要な作品となる「二十四のプレリュード」を創り上げていく。サンドの傍ら、病に苦しみ瀕死の状態にあって、ショパンは苦悩を至高の芸術に昇華させていく。