2009/09/27

十年前 考えたこと


(September 2009, Kujukuri Hama, Chiba, Japan)

 植林研究所のプロジェクトはメキシコの環境プロジェクトと位置づけられていた。メキシコシティの盆地を取り囲む五千メー トル級の山々に植林し、緑の環境を取り戻し、大気汚染を緩和する環境対策の一環である。
 遠く、太平洋を越えた地から日本を思うとき、緑豊かな自然、水に潤う大地のかけがえなさを考えずにいられなかった。かつて、メキシコシティは山々に囲まれた広大な湖に浮かぶ、美しい湖上都市であった。しかし、今やそのすべてを失い、再び取り戻すことはない。わずかに残った水路の上にはコンクリートの蓋がかけられ、汚れた水から発生するガスが漏れ出している。かつての水の都は二度と戻ってこないように思われた。二千万人もの人が生活する都市、そのどこにも、水の流れを見いだす場所はなかった。

 すべては水に集約する。
日本でも誰かが大地を守らなければならない、河川を守らなければならない。
 自分にとって、すべての取り組みはそのためにある。
(December 1999, Inagekaigan, Chiba, Japan)