2009/11/27
Divisadero
(September 1996, Ferrocarril Chihuahua al Pacifico, ChP, Chepe)
メキシコの北部、チワワ州の大渓谷Copper Canyonを鉄道で旅する。山賊の襲撃に備え列車の出入口は機関銃を装備した護衛が固める。列車は徐々に高度を上げていく。鉄道沿いに流れていた川は次第に視界からはなれ遥か下に遠のいていく。いくつかのトンネルを過ぎると、目の前には大渓谷のパノラマが広がった。
Divisadero(ディビサデロ)は渓谷で最も標高が高い駅で、海抜2,400メートルの断崖絶壁の上にある。駅を降りて歩くと間もなく渓谷を一望する断崖に出る。そこに張り付くように建てられた一軒宿Hotel Divisadero Barrancasに宿泊した。
(September 1996, Divisadero, Estado de Chihuahua, Mexico)
到着したとき、直前まで降っていた雨が上がり青空が見え始めていた。渓谷の彼方に2千メートル級の山脈が連なる。渓谷から立ち上る膨大な水蒸気が山塊の上に積乱雲をつくりだし、空一面を巨大な雲の塊が覆い始めた。雲は急速に広がり、雲の巨体に山脈が押しつぶされそうに見える。山頂には激しい雨が叩き付けるように降っているようだ。
翌朝、前日に降りしきった雨が渓谷に壮大な雲海をつくり、空には霧がベールのように広がっていた。空の空気が朝陽を浴びてオレンジ色に燃え始め、まるでオーロラのような光景が出現した。Divisaderoの大自然は圧倒的なスケールだ。一度目にしたらけっして忘れられない。