2010/02/14
二年前
(October 2006, Tokyo, Japan)
北の方で何かが爆発した。
光一閃、街が砂塵になって舞い上がった。膨大な土煙が空に立ちのぼり、巨大なかたまりが猛烈な勢いで向かってくる。
「まずい!いそいで!ビルの南側に身を隠して!」
あっという間の出来事だった。
超高層のガラスがこなごなに吹き飛ばされる。街は赤茶色の嵐の中に飲み込まれ、地面に叩き付けられた。ガラスの破片が烈風になって吹き荒れ、窓枠の鋼はちぎり飛ばされた。
一体何が起きたのか?
むき出しになった建物の骨組みが、衝撃の凄まじさを物語っていた。いたるところでビルが傾き、街は無惨に破壊されていた。
しかし、人々は懸命に生きようとしていた。
自ら傷つきながらも、となりの人を助けるために手を差し伸べようとしていた。
奇跡だった。一人も命をおとしていなかった。
私たちは生き延びたのだ。