2009/11/30
仁王門
(April 2006, Nikko Toshogu shrine, Tochigi, Japan)
日光東照宮の一の鳥居をくぐり、第一門の正面に立つ。古来より人は、門をくぐることに特別な意味を感じてきた。社寺の門は訪れる人々の信仰心を映し出し、参道に儀式的な意義をもたせる。また、古くから門は人の集まる場をつくってきた。「門前市をなす」の言葉どおり、門前町の参道には店が軒を並べ市をつくり、祝祭的な場所をつくり出した。
日光東照宮の第一門は、阿形と吽形の仁王像に守られた仁王門である。阿形像は口を開き世界で最初に生まれた音を出している。吽形像は口を閉じ世界で最後の音を表す。阿吽像は門の正面に立つ人に向かって、人生の始まりから終わりまでの意味を問いかけている。仁王像の射抜くような眼光は、私たち自分自身の内面、心の中に向けられている。厳しく過酷な試煉が続く人生。まるで、人生に立ち向かう心の力を私たちに授けようとするかのように。