2010/01/26

氷に覆われていた頃


(December 2004, Patagonia, Chile)

(January 2005, Patagonia, Argentina)

氷の大地。人類がつくったものは見当たらない。
すでに仲間が大勢きている。大地にはペンギンがたくさんいる。
私は若い女性と一緒にいる。肩くらいまでに揃えた髪。落ち着いた声。

「めずらしい生き物がいるわよ。ほら、あそこよ。」

よく見ると植物のかげに光沢のある黒い玉が動いている。ビー玉よりも少し大きい硝子のような玉がいくつか繋がって動いている。
足下に小さな恐竜が走って来た。手のひらくらいの大きさで紫をおびた青い色をしている。目の前でさかんに動き回って、何かアピールしている。その仕草が面白くて写真を撮る。すると、恐竜はいろいろなポーズをとり始めた。

「これ、細くて食べるところがなさそうね。」
「むこうはこっちを食べるつもりかも知れない。」
「けど、脚の関節を外せば身がとれそう。」

集まってきた仲間の雑多な声が聞こえる。
にわかに、恐竜の目に警戒の色がうかぶ。