2009/10/11
海に流れゆくもの
(January 2005, Perito Moreno Glacier, Argentina)
地上のあらゆる部分が、いつの日か海へ流れてゆく。巨大な氷河も日々海に向かって動いて行く。やがて崩れ去り、溶け出した養分が海の生物を育んでいく。
しかし、今、地球はこの五十億年で経験したことのない事態に遭遇している。北太平洋亜熱帯還流とよばれる大陸ほどもある海域で、プランクトンを上回る重量のプラスチックが漂流している。ボディスクラブ剤に含まれるプラスチック粒や生分解後に残るプラスチックなど、微細で排水濾過を通り抜けてしまうプラスチック材が、世界中から海に流出している。
こうしたプラスチックが分解するまで、いったいどのくらいの時間がかかるのか誰にもわかっていない。これまで自然に消滅したプラスチックがないからだ。いつか微生物がプラスチックを食糧にするかも知れないが、それは十万年先かも知れない。